ORIGINAL SETTING PROJECTProject Paraiba

プロジェクト パライバ

一匹の狼が、群れではなく家族を選んだ日から。人とシラディス族の境界を生きる少女たちが、壊れた身体と壊れなかった絆を抱えて今日も街の片隅で任務にあたる——痛みと温かさが同居する世界観・キャラクター設定集。

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Introduction

はじめに ― 群れは、家族に変わる

「Project Paraiba」は、人とシラディス族の境界を生きる少女たちを描くオリジナル設定プロジェクト。かつて青い毛皮を狙う乱獲によって数を減らした原種シラディス族と、企業の人体実験から生まれた"人工シラディス"たちが交錯する現代を舞台に、非公式に組織された特別チームが事件の後始末に奔走する日々を追う。

らむねと伊織吏 ― 出会いの夜

野生のオオカミとして生きてきたらむねは、青い毛皮とそれにまつわる古い伝承に執着する密猟者・兵頭に命を狙われるようになる。何度も逃げのびてきたが、その夜だけは違った。匂いも気配も完全に消して迫った兵頭の不意打ちを受け、追い詰められた崖の上でもみ合いになった二人は、そのまま崖下へと落ちていく。

大男の体がクッションになり、らむねは辛うじて息をつないだ。崖の下は、彼女がよく休息に使っていた洞窟の前だった。足を引きずりながら身を寄せて休んでいると、数刻後、嫌いになった足音がまた近づいてくる。奴だった。もはや顔貌もわからないほどの怪我を負いながら、青毛への執着だけで息をつなげていた兵頭は、らむねが大切に集めていた宝物を蹴りつけて罵っていた。

立ち上がりたい、噛みついてやりたい——でも体が動かない。焦燥の中、冷静さを欠いた兵頭は自ら蹴り飛ばしたオイル缶に足を取られ、後頭部を強く打って昏倒する。緊張の糸が切れたらむねも、そのまま意識を手放した。

次に目を覚ましたのは、別の足音でだった。「うわっ、こりゃひどいな……。んしょ、もしもし――」たまたまその地を訪れていた研究者・和泉伊織吏との出会いが、らむねが和泉家の一員になるはじまりだった。

World

世界観 ― シラディスウイルスとは

人類が誕生してほどないころ、突然変異によって発生したとされる、ヒトと食肉目の間で相互感染する致死的ウイルス。感染者は壮絶な"再構築"を経て、獣の特徴を宿した新たな身体を得る。狼男伝承の一部は、この感染を生き延びた個体の記録だと考えられている。

血液感染主要感染経路 / 粘膜・飛沫感染の可能性は著しく低い
97.2%感染率
95%→5.8%致死率(未治療 → 適切な治療下)

急性反応期

発熱・倦怠感、全身の皮膚の炎症が起こる。

核形成準備期

受傷部位を中心に高熱を発し、「核」が形成され始める。

再構築期

全身の皮膚が焼けただれ組織が脱落、新組織が急速に形成される。

安定期

炎症は落ち着くが、変容した身体を受け入れられず衰弱する者もいる。

核(Core)は再構築の中枢であり、シラディス症候群罹患者にとって唯一にして最大の弱点。ここを損傷しない限り、心臓や脳への致命傷すら後遺症なく回復する。核の位置には個体差があり、公になっていることは少ない。

Team

チーム ― 核を壊さない、という選択

企業による人体実験の果てに生まれた"人工シラディス"の一部は制御を失い、街で暴走することがある。それを鎮めるため非公式に組織された特別チームが、らむね・めろん・サイ・プアラの4名。対シラディス症候群抑制剤「Cyladinex-3」を用い、核を破壊せず鎮静させて治療の機会につなげることを任務の中心に据えている。

らむね前衛 / アタッカー
めろん索敵支援 / 後方
サイ偵察・狙撃・サボタージュ
プアラ指揮 / 戦術立案
効率よく核を破壊して勝利する、そういうチームじゃない。鎮めて、還す。それがこの4人の流儀。
MISSION PHILOSOPHY

Character

キャラクター

それぞれの過去と役割を抱えながら、ひとつの家族として日々の任務にあたる4人。

立ち絵:らむね
前衛原種シラディス / 15歳

らむね

和泉 らむね

元は野生のオオカミ。類稀なる身体能力と動体視力を武器に前線を張る。ヒトの姿になっても狼の特徴を色濃く残している。

好きな食べ物
MRE(ハンバーグ)
嫌いなもの
大きな音、暑い場所
将来の夢
ずっとみんなで暮らすこと

密猟者・兵頭に追われた夜、たまたま通りかかった研究者・和泉伊織吏に拾われ、和泉家の一員となった。

めろんを実の姉のように慕い、深く懐いている。サイとは同族としての強い仲間意識で結ばれ、前衛としての戦いぶりを尊敬している。プアラとは対戦ゲームでも張り合うライバル同士。

立ち絵:めろん(らむねのぬいぐるみを抱えている)
索敵支援和泉伊織吏の娘 / 18歳

めろん

和泉 めろん

らむねが「おねーちゃん」と慕う存在。後方からその能力を発揮し、暴走したシラディスの核の位置を探る、チームには欠かせない索敵役。

好きな食べ物
妹の残り香
嫌いなもの
ホラー
将来の夢
獣医師

過去、窮地に陥ったらむねを救ったことが、ふたりの関係のはじまり。家庭でも頼れる存在で、焼くパンの味には定評がある。

らむねを妹のように溺愛する、重度のシスコン。サイとはママ友に近い距離感で、家庭での役割が近く話が合う。

立ち絵:サイ
偵察・狙撃人工シラディス / 17歳

サイみやずみ サイ

宮炭 サイ

らむねに似た色の髪を持ち、右目は前髪で隠している。過去の事件で右目の視力と記憶の多くを失った代わりに、風景に限る超記憶能力を得た。視覚・聴覚が強化され、偵察要員として才を発揮する。

好きな食べ物
卵料理
嫌いなもの
大きな音、強い光
将来の夢
病理学者

徐放剤入りの義眼を右眼窩に装着しており、虹彩部のダイヤルを絞ることで戦闘能力を大幅に高められる——が、副作用とリスクが大きく、プアラに泣いて叱られることもある。

らむねを同族として尊敬し、めろんとはママ友のように話が合う。プアラとは元は対等な幼馴染だったが、事件以降は守護対象として見守っている。

立ち絵:プアラ
指揮官サイの幼馴染 / 12歳

プアラヴェンデル・プアラ

ヴェンデル・プアラ

白と金が混じる髪と、色素の抜けた赤い瞳を持つアルビノの少女。上流階級の家庭に育ち、対戦ゲームと機械いじりを愛する理論派。ボディカムやUAVの情報を精査し、遠隔から仲間を導く司令塔を担う。

好きな食べ物
甘いもの全般
嫌いなもの
人混み、広い場所
将来の夢
プロゲーマー

らむねとは良き友人でよきライバル。負けないよう練習を欠かさない(が、最近はらむねの成長速度が早すぎて引き分けが多いらしい)。めろんを頼れる姉のように慕い、サイには事件以降なにかと世話を焼いている。

FAQ

よくある質問

Qらむねちゃんとは?

元は野生のオオカミ。今はヒトの姿で世を忍ぶ、類稀なる身体能力と動体視力で戦う女の子。

Qおねーちゃんって誰?

過去に窮地に陥ったらむねを救ってくれた和泉伊織吏の娘、めろんのこと。姉→妹の重症シスコンです。

Q姉妹なのにケモ耳があったりなかったりするね?

らむねは原種シラディス族の末裔。ヒトの姿になってもオオカミの特徴をある程度残している。

Q感染経路はどうなっているの?

血液感染が主で、粘膜接触や飛沫などでの感染可能性は著しく低いことが研究で明らかになっている。

Q核っていうのは大事なの?

とても大事。シラディス症候群罹患者の弱点ともいえる部位で、ここが大きく損傷すると再構築できず死亡する。逆に言えば、ここさえ無事なら心臓や脳を損傷しても後遺症なく元に戻る。

Qそもそもなんでらむねちゃんは戦うの?

企業による度重なる人体実験で生まれ、制御不能に陥った人工シラディスたちが、ある事件をきっかけに街中で暴動を起こすようになった。それらを制圧するための非公式チームの一員として、戦闘任務にあたっている。どういうわけか、らむねの近くで騒動が起きることが多いらしい。

Qそんなやばいものが、なんで今まで話題にならなかったの?

17世紀ごろから、原種シラディス族はその稀有な青い毛皮を求めて乱獲され、個体数を著しく減らした。結果として感染経路そのものが限られていた。

Archive

資料庫 ― 関連文献アーカイブ

劇中世界に存在するとされる文書・資料の抜粋を、そのまま収蔵しています。

シラディスウイルスの再構築機構における代謝的制約と参照選択性 ―― 参照アーカイブ仮説に基づく統合的病理モデルの提唱

V. ヴェンデル¹・I. 和泉²・M. 宮炭³(遺稿) / 掲載:2042年6月

要旨

シラディスウイルス感染症は、宿主組織の広範な壊死と、それに続く異種形質を含む新生組織の構築を特徴とする。本研究は、ウイルスが宿主ゲノムとは独立した圧縮参照配列群――参照アーカイブ――を保持し、その実体化がコア(nucleus viralis)内で行われ、新生組織の形質は宿主ゲノムと参照アーカイブの優先度依存的選択によって決定される、とする統合モデルを提唱する。コアは形態決定中枢であると同時に代謝中枢であり、強酸曝露への特異的脆弱性、活性亢進状態(暴走)の自己終息性、抑制剤 Cyladinex-3 の狭小な治療域は、いずれも単一の代謝的制約から導出される。

系統間差 ― 参照整合指数(RCI)

RCI安定期到達率抑制剤依存
群A(天然系統)0.94 ± 0.03100%(3/3)症例により異なる
群B(人工系統)0.41 ± 0.1435%(6/17)100%(17/17)

人工系統でRCIが著しく低いことは、人為的に導入された参照配列が宿主ゲノムとの競合を解消できないことを示す。一方、天然系統はRCIが高いほど基礎活性値も高い。人工系統は不整合ゆえに、天然系統は駆動力が過大であるがゆえに――両者は正反対の理由から、同一の薬剤を必要とする。

Cyladinex-3 治療域

血漿中濃度 12〜34 ng/mL が治療域とされるが、その幅は約22 ng/mLと臨床的にきわめて狭小である。過少投与は活性亢進のリスクを、51 ng/mL超の過剰投与は再構築の実質的停止をもたらす。「本剤は病原体を殺せない。殺してはならない。」

供給構造について

本剤の恒常的投与を要する個体は、製剤の供給主体に対して恒久的な依存関係に置かれる。現在、製造能力を有する主体は事実上一つに限られる。著者の一人はこの供給元企業から便益を受ける被扶養者を有しており、本稿はその利益相反を明記した上で公表された。

再構築不全(Collapse)という状態異常

ステージⅣ到達後もなお失われうる個体がいる。本稿はこれを「ステージⅤ」ではなく、独立した状態異常再構築不全(Collapse)と定義する。コアの合成能が組織維持の需要を満たせなくなった状態であり、たとえ再構築が再開しても、それは身体の復元であって、個体の復元ではない――感染以前に失われた中枢神経組織の内容は、再構築を経てもなお戻らないためである。

彼らは死なないのではない。
死に続けながら、そのつど作り直されているに過ぎない。

和泉, I.(2024, 2026, 2027, 2032, 2039)/ ヴェンデル, V.(2028, 2030, 2035, 2040)/ 宮炭, M.(2029, 2031, 2036・未公表)/ Anonymous(2033)

詳しく見る

人工シラディス計画 (Project Cyladis-Artificialis) におけるウイルス遺伝子改変と形質導入の試み

Anonymous(203x)

方法

シラディスウイルスのRNA依存性ポリメラーゼ領域に改変を加え、異種生物の遺伝子断片を導入する組換え型シラディスウイルス(r-CylV)を作成。感染実験により異種遺伝子が発現し得るかを確認した。

結果

感覚器官の異常な発達や筋力の顕著な増大が確認された一方、実験群の88%が発症後10日以内に死亡。生存個体も高頻度で神経障害を呈し、行動異常(攻撃性の過剰亢進、認知機能の低下)が認められた。

結論

████████████████████████████████

和泉, I.(2032)/ ヴェンデル, V.(2028, 2030)/ 宮炭, M.(2031)/ Anonymous(2033)

この研究は……

君は知りすぎたね。

GCL(Groupe de Continent Loup)― 統合企業概要

発行:GCL コーポレートコミュニケーションズ部 / 株主・投資家向け公開資料

沿革

その源流は18世紀、青い毛皮を求めた乱獲と、それに続く各国の狩猟・流通禁止令の時代にまで遡るとされる。以来、シラディス族由来の資源に一貫して関与してきた歴史を持つ。

事業内容

物流、医薬品製造、食品製造、ソフトウェア開発、防衛関連製品など、複数の事業領域を持つ総合コングロマリット。対シラディス症候群活性抑制剤「Cyladinex-3」の製造元としても知られ、当該薬剤の製造能力は事実上グループが独占している。

非公開資料からの抜粋

本資料の一部区画は、外部に流出した内部文書に基づく。GCLは政府・軍部との緊密な関係のもと、シラディスウイルスに関する研究――人工シラディス計画を含む――を継続してきたとされる。同計画の実務に携わった研究者の一人に、宮炭サイの父が含まれていた。彼は計画に自らも加担している自覚を持ちながら、その理念には強く反対していたと記録されている。

彼の身に何が起きたかについて、これ以上の記述は――████████████

出典:GCLグループ統合報告書 / 内部提供資料(出所不明)